日露法律家協会共同議長 ご挨拶
日本側議長 川 村 明 弁護士
昨、2016年12月に発表された日本政府の日露経済協力8項目プランを見るまでもなく、互いに海を隔てて接する日露間友好関係の強化は両国の喫緊の課題です。ところが、その友好関係の基盤となるべき法制度の相互理解は、ほとんど手付かずの状態です。その空白状態を埋めるべく、両国の有志法律家が相集ってこの度設立したものが、日露法律家協会(Russia Japan Lawyers Council)です。
本年、2017年5月16日、ロシアのセントピータースバーグ市において、アレクサンドル・コノヴァロフ連邦法務大臣の立ち合いの下、設立総会を開催しました。日本側には福島正則在セントピータースバーグ日本国総領事の立ち合いを得ました。このような日露間の組織の結成を早くから提唱していたエレーナ・ボリセンコ前法務副大臣と私が共同議長を務めることになりました。本年12月には、東京で第二回総会を開催すること、できれば、そこへ日露双方の法務大臣をお招きしたいと計画しています。
当協会では、発足早々、有志によるロシア法研究会が勉強会を始めています。私の知る限り、日本にはロシア法学会ないしそれに類する研究団体は存在しないようです。すると、この当協会のロシア法研究会が日本で唯一の組織的ロシア法研究団体ということになります。また、今後、双方の学者の交流、留学生の支援などの事業を手掛けていきたいと考えています。私は公益社団法人日本仲裁人協会の理事長を務めていますが、9月に開催されたウラジオストックの東方経済フォーラムにおいて、ロシア側のロシア仲裁センターとの間で、ロシア極東地域での経済紛争を相互協力により仲裁で解決する協力合意書を署名してきましたが、このような両国間の紛争解決制度を整備していくことも当協会の目的であります。
当協会は、小なりとはいえ、内外の関係者から温かい祝福を受けて誕生しました。その使命の重大性からみても、これを大きく丈夫に成長させ、両国の政治情勢にいかなる山谷があろうとも、安定した法的基盤を指し示せる法律家団体にしていかなければならないと考えております。
どうか、広く多数の有志のご支援を受けられるようお願いするものであります。
平成29年9月吉日
日露法律家協会共同議長 川 村 明