第4回カウンシル・ミーティングが開催されました。
2019年5月14日に、第9回サンクトペテルブルク・国際リーガルフォーラムが開催されました。開会レセプションの様子は、2019年5月14日②の記事『第9回サンクトペテルブルク・国際リーガルフォーラムに参加して来ました。』をご参照頂けますと幸いです。
私共、日露法律家協会(Российско-Японский Совет Юристов)は、サンクトペテルブルク・国際リーガルフォーラムの後援を得て、ロシア連邦司法大臣アレクサンドル・コノヴァロフ様のお立会いの下、ロシア側のエレーナ・ボリセンコ様、日本側の川村明弁護士が共同署名することにより、創立されました。その際に開催されましたのが、協会の第1回カウンシル・ミーティングになります。
日露法律家協会(Российско-Японский Совет Юристов)は、ロシアのサンクトペテルブルクに本拠地を有し、日露双方の法律家が協力する一つの団体であることに特徴があります。
具体的な活動目的としては、(1)日露法律家どうしの持続的な情報交換、(2)日本国とロシア国の双方の法制度の研究・研鑽、(3)両国間の裁判外紛争解決方式(国際仲裁、国際調停等)の開発・促進、(4)両国法律家による共同セミナー・研修・会議等のイベント開催、(5)学生、弁護士、他の法曹関係者の教育プログラムの促進等がありまして、これら実現のため定期的にカウンシル・ミーティングを開催し、お互いの活動や進捗の状況について話し合っております。
2019年度の第4回カウンシル・ミーティングも、同年5月に開催された第9回サンクトペテルブルク・国際リーガルフォーラムにおいて、アレクサンドル・コノヴァロフ司法大臣をお迎えして、以下のとおり、日露法律家が参加して開催されました。
1.日本側出席者〔以下、敬称略〕
川村明(日本側共同議長、世界法曹協会元会長、日本仲裁人協会理事長、アンダーソン毛利友常法律事務所)
小川晶露(日本側事務局長、日弁連ロシア交流チーム長、あきつゆ国際特許法律事務所)
中野由紀子(日本側事務次長、元外務省ロシア担当、半蔵門法律事務所)
長友隆典(日本側事務次長、元農林水産省サンクトペテルブルク駐在、長友国際法律事務所)
南純(日本側事務局、中央総合法律事務所)
宍戸一樹(瓜生糸賀法律事務所、モスクワ支所責任者)
大沼真(長島大野常松法律事務所)
三浦康晴(渥美坂井法律事務所・外国法共同事業(日本))
新島由未子(山田法律事務所)
佐藤史人(ロシア法研究者、名古屋大学大学院教授)
【ご来賓】
飯島泰雅様(在サンクトペテルブルグ日本国総領事)
2.ロシア側出席者〔以下、敬称略〕
エレーナ・ボリセンコ(ロシア側共同議長、ロシア連邦元副大臣、ガスプロム銀行副会長、サンクトペテルブルク国際リーガルフォーラム理事会会長)
アントン・アレクサンドロフ(MZS&Partners、パートナー弁護士)
マクシム・アレクセーエフ(ALRUD法律事務所、シニアパートナー弁護士)
アンドレイ・ゴーレンコ(ロシア仲裁協会代表)
アレクサンドル・エルメンコ(FBK Grant Thornton法律部門部長、パートナー弁護士)
エヴゲニィ・ラシェフスキー(Egorov Puginsky Afanasiev and Partners法律事務所、国際仲裁訴訟部門長)
セルゲイ・ベローフ(サンクトペテルブルク国立大学法学部学長)
【ご来賓】
アレクサンドル・コノヴァロフ様(ロシア連邦司法大臣)
第4回カウンシル・ミーティングは、冒頭から、川村明(日本側)共同議長とエレーナ・ボリセンコ(ロシア側)共同議長のそれぞれが挨拶して始められました。川村議長からは第9回目のリーガル・フォーラム開催を祝福し、ボリセンコ議長からは川村議長の協力に対する感謝と、本年度はリーガル・フォーラムでお目にかかれて光栄である旨のお言葉がありました。
※僭越ながら、会議全体の司会進行は小川晶露事務局長にて務めさせて頂きました。
その後、アンドレイ・ゴーレンコ・ロシア仲裁協会代表からご挨拶があった後、1つ目の議題である大学間交流について、佐藤史人教授(名古屋大学大学院)とセルゲイ・ベローフ教授(サンクトペテルブルク国立大学法学部学長)との間で進捗報告と今後の課題についての発表がありました。
昨年の第3回カウンシル・ミーティング以降、徐々に日本の大学がサンクトペテルブルク国立大学で講義に来訪する等しているが、今後、継続性や財政的基盤をどのように確保するのかについて課題を共有しました。
引き続き、次の議題である日露法律事務所間における若手弁護士の人的交流について話し合われました。
日本人の若手弁護士としてロシア側メンバーのALRUD法律事務所(モスクワ)に、1年間、研修を行った大沼真弁護士から、ロシア法律事務所における研修の意義と成果について発表があり、これに対して、受入側であるALRUD法律事務所のシニアパートナーであるマキシム・アレクセイエフ弁護士から、ロシア側として研修を受け入れることの意義等について報告がありました。
そのような中、アレクサンドル・コノヴァロフ・ロシア連邦司法大臣がご来臨されました。コノヴァロフ司法大臣におかれましては、フォーラム中の大変ご多忙の折、当協会のカウンシル・ミーティングのためお運び下さいまして、誠に有り難うございます。協会一同、つつしんで御礼申し上げます。
コノヴァロフ司法大臣は日露の協力に深い感謝の意を述べられた後、約40分ほどミーティングにご臨席くださいまして、最後は皆様で記念品を交換して、次の公務に赴かれました。
コノヴァロフ司法大臣とボリセンコ(ロシア側)共同議長には、田島硝子さまの富士山祝杯(青富士・赤富士)をお贈りさせて頂きました。
今回のカウンシル・ミーティングでは、日本側参加者が多くの発表を準備して臨みました。コノヴァロフ司法大臣がご退席された後も、皆さまが多くの意義あるご報告とご発表をして下さいました。
日本側の参加者の皆様におかれましては、普段から実務でお忙しい中、大変入念にプレゼンテーション資料をご準備くださいまして、誠に有り難うございました。つつしんで御礼申し上げます。
まず、宍戸一樹弁護士が、日本の法律事務所として初めてモスクワに支所を設置したこと、そして、日露の若手弁護士の人的交流の一環として、東京のご自身の法律事務所にて若手ロシア弁護士をインターンシップとして受け入れる準備があること等をご発表されました。
つづいて、長友隆典事務次長(弁護士)から、ロシア極東地方に隣接する地方都市北海道弁護士会の立場から、サハリン交流を中心とした日露交流の意義と将来性についてご発表があり、また、北海道に限らず、地方都市の日露交流の重要性についても報告されました。ロシア側参加者からも、質問や意見が出されて有意義な意見交換となりました。
そして、最後は、当協会の若手会員である南純弁護士と大沼真弁護士により、『現状において、なぜ、日本企業はロシア投資を委縮するのか?』という非常に興味深いテーマにて、お二人の対話形式で発表されました。
大沼真弁護士も南純弁護士も、最近まで1年間にわたり、モスクワの法律事務所でロシア法務に従事していました。お二人とも、若手弁護士の立場から、その時の経験と知見をもとに、非常に興味深い発表をして下さいました。
以上をもちまして、日露法律家協会(Российско-Японский Совет Юристов)第4回カウンシル・ミーティングも終了いたしました。改めまして、普段、日本での実務で大変ご多忙の中、本ミーティングのために、それぞれご発表を準備して下さいました佐藤史人教授、宍戸一樹弁護士、長友隆典弁護士、大沼真弁護士、南純弁護士におかれましては、誠に有り難うございました。協会一同、心より御礼申し上げます。
また、本年度も、本ミーティングの準備・設営のため、中野由紀子、長友隆典の両事務次長におかれましては、今回も、流暢なロシア語・英語を駆使して、あらゆる路地廻りを大変力強く助けて頂きました。この場をお借りして、つつしんで御礼申し上げます。
そして、何よりも、本年度、当協会の日本側メンバーは、川村明議長の参加を得ることができました。
川村明先生におかれましては、リーガル・アワード受賞者選考委員会に出席するため、私共より1週間も前にサンクトペテルブルクに入って候補論文を読み抜き、その後も、開会レセプション、プレナリーセッションのスピーカー、そして、本カウンシル・ミーティングにご出席くださる等、大変なご活躍とご負担であったと拝察します。本当に有り難うございました。そして、誠にお疲れ様でございました。(文責小川)