サンクトペテルブルク国立大学を訪問しました。
本年度も、5月14日~同17日まで、サンクトペテルブルクにて国際リーガルフォーラム(以下「サンクト・フォーラム」といいます。)が開催されましたが、日露法律家協会からも、川村明共同議長を筆頭に、多くの協会会員が参加して参りました。
毎年5月に開催されるサンクト・フォーラムは、ロシア連邦司法省が主催して2011年5月を第1回目として開催され、早いもので、本年度(2019年)で9回目の開催となります。
参加者数は毎年増加し、本年度は、124か国から計5040名の参加を得たとのことです。
正式な開催レセプションは、2019年5月14日の午後6時からショスタコーヴィチ・アカデミック・フィルハーモニア劇場で開催されましたが、同日午前に、ロシア法の佐藤史人教授(名古屋大学)を通じて、サンクトペテルブルク国立大学法学部に招待されました。
サンクトペテルブルク国立大学(Санкт-Петербургский государственный университет、略称「СПбГУ」)は、ロシア・サンクトペテルブルクにある公立の大学で、1724年、ピョートル大帝によって帝国科学アカデミー(現在のロシア科学アカデミー)として設立されたロシア最古の大学です。モスクワ国立大学と並ぶロシアの名門大学で、特に、法学教育ではモスクワ大学を凌ぐと言われており、現ロシア連邦司法大臣のアレクサンドル・コノヴァロフ様や、サンクト・リーガルフォーラムを作ったエレーナ・ボリセンコ様(ガスプロム銀行副会長、前司法副大臣)、また、ドミートリ―・メドベージェフ首相やウラディミール・プーチン大統領の出身校としても著名です。
大学内に入ると、サンクト・フォーラムに併せて、学生国際リーガルフォーラム( МЕЖДУНАРОДНЫЙ МОЛОДЁЖНЫЙ ЮРИДИЧЕСКИЙ ФОРУМ)が開催されており、その中で、日本法を勉強するロシア法学部生に対するセッションが設けられていました。(セッション名:Круглый стол “Права Японии”(円卓会議「日本法」))
日本法セッションはアンナ・グリシェンコ教授とイリヤ・ワシリエフ(Илья Васильев)教授をモデレータとして、集まったロシア法学部生約25名に対し、まず、佐藤史人教授が基調講演を行なった後、当協会も日本法を紹介する講義を行いました。
引き続き、小川晶露事務局長から日本の裁判制度についての講義、長隆典事務次長から北海道を中心とした日露の弁護士間交流の紹介がありました。
その後、ペテルブルク大学の学生さんの方からも、3名の方が日本法に関する研究報告を行いました。発表内容は、①日本との比較におけるメディアの表現の自由(“Структура права на свободу слова в С редствах Массовой Информации в Японии: в сравнении с Россией”)(ロシア法学部生Алиса Кайденкоさんの研究発表)だったり、②日本のADRとしての国際調停(ロシア法学部生Яна АнтоноваさんとЕкатерина Петроваさんとの共同研究発表)だったり、③日本国憲法第9条(ロシア法学部生Анастасия Здроговаさんの研究発表)だったりと、何れも私たち日本人にとっても非常に難しいテーマばかりでしたが、それにも拘わらず、きちんと調査をして賛成・反対の意見を述べる学生さん達の能力の高さに、大変、驚かされました。
上記はペテルブルク大学学生さん発表の様子ですが、左から右に順番に、Яна Антоноваさん、Алиса Кайденкоさん(発表中)、Александра Медведеваさん、そして、Мария Калининаさんになります。
約1時間30分の日本法セッションも、あっという間に終わってしまい、最後は、皆さまで記念撮影を行いました。
その後は、同日午後に、アレクサンドル・コノヴァロフ司法大臣が大学を訪問されて、学内大ホールで開催された記念式典で基調講演をされました。
《アレクサンドル・コノヴァロフ司法大臣による学内記念式典の基調講演》
サンクトぺテルブルク国立大学にも、これほど多くの学生の皆さまが日本法に興味を持って下さり、研究活動をして下さっていることに、私共、日本の法律家としても、大変感激いたしました。
当協会としましては、今後も微力ではありますが、ロシアの法学部生の皆様の研究教育活動を支援して参りたいと考えておりますので、どうぞ、宜しくお願い申し上げます。
最後になりましたが、当協会を温かく迎えて下さったサンクトペテルブルク国立大学のアンナ・グリツェンコ教授、イリヤ・ワシリエフ教授、セルゲイ・ベローフ法学部学長には心より感謝申し上げます。誠に有り難うございました(文責小川)。