アレクサンドル・コノヴァロフ司法大臣とのラウンド・ミーティング(円卓会議)が開催されました。
前日、開催されたカンファレンス「日露学生の模擬国際仲裁」に引き続き、翌日(11月1日)朝、ユジノサハリンスクに到着されたアレクサンドル・コノブァロフ司法大臣が、関係者と一緒にラウンド・ミーティング(円卓会議)を開催されました。
〔参加者:敬称略〕
Alexander Konovalov(ロシア連邦司法大臣)、
Andrey Gorlenko(ロシア仲裁センター代表)、
Anna Kiseleva(同センター・ウラジオストック事務次長)、
Oleg Fedorov(サハリン国立大学法学部学長)、
Denis Borodin(同大学科学発展部学長)、
セルゲイ・ポノマレフ(弁護士、元検事正、ロシア地理学会サハリン州支部長)、
Makisim Belyanin(ユジノサハリンスク弁護士会会長)、
久野和博(在ユジノサハリンスク日本総領事)、
川村明(弁護士、日本仲裁人協会会長、日露法律家協会議長(理事長))、
小川晶露(弁護士、同協会事務局長)、
柴田正義(名古屋大学大学院法学研究科ロシア法専攻)、
竹内大樹(神戸大学大学院法学研究科ロシア法専攻)、
ロシア学生4名(サハリン国立大学法学部生)、
その他、サハリン国立大学の教授数名、
(以上合計15名程度)
①まず、大臣からご挨拶があり、今回のカンファレンスの主催者、共催者、そして、日本からの参加者に対する謝辞がありました。
②次に、アンドレイ・ゴーレンコ・ロシア仲裁代表から前日カンファレンスの報告と、日露学生と関係者、特に、日本側では当協会議長の川村明弁護士の取り組みに対する評価と謝意が述べられた。
③川村明弁護士から、今回の催事が大成功であったこと、日露学生ともに素晴らしかったこと、協会の人的資源は将来を担う若い世代にも広がっていること、ロシア極東と北海道に仲裁調停の紛争解決制度が発展する日が来ることを確信したこと、等のお話がありました。
④その後、大臣から日露学生に対するヒアリングがありました。
日本の学生からは、準備が大変だったが大変勉強になったこと、国際商事仲裁の重要性を改めて実感できたこと、将来、ロシア語で国際仲裁に取り組む実務も携わりたいこと等が述べられました。
他方、ロシアの学生からは、日本チームは入念に準備し、ロシア語力も高かったこと、自分達も大変勉強になったこと、貴重な機会を与えて頂いたこと、また同様のイベントがあれば是非参加してみたいこと、等が述べられた。
そして、大臣からは、各種のロシアや世界の判例や実務について、どのように情報を収集して準備したのかという質問がありました。
※大臣は、双方の法分野の発展のためは、日露の法情報がどのようなリソースから獲得されているのか、関心を持たれているご様子でした。
それに対して、日本学生からは、インターネットの活用が有益であるが、特にロシア法に関する資料(論文、判例)を収集することの難しさについて言及がありました。そして、相互に有益な情報を共有するためには、日本およびロシア双方の法的資料と人的交流をますます促進する必要があること、法分野でお互いにロシア語・日本語を理解する研究者や実務家がもっと多く登場すべきであること等の回答がありました。
⑤以上を踏まえた上で、大臣から、以下のとおり総括がありました。
・日本国とロシア極東は地域的に近接している。今回のような催事は、今後も人的交流の発展のため継続してきたい。
・極東地域は政治的、民族的、経済的に異なる諸国が関係し合っている。そのような複雑な地域で、商事事件を中心に適切な紛争解決インフラを築くことは、地域の発展にとって非常に重要なことである。
・日露双方が情報や資料を交換できることは非常に有意なことと思料される。人的交流、その中でも特に、法律家による人的交流の広がりは、今後も非常に重要な課題と思料されるので、引き続き、今回のような活動を後押ししていきたい。
その後、当協会を代表して、川村明弁護士から大臣に対し、記念品を贈呈させて頂きました。
以上のとおり、アレクサンドル・コノブァロフ司法大臣と関係者によるラウンド・ミーティング(円卓会議)が開催されましたので、ご報告いたします。この模様は、ロシア司法省の公式ウェブサイトにも掲載しれています。https://minjust.ru/mobile/ru/novosti/av-konovalov-prinyal-uchastie-v-kruglom-stole-po-podvedeniyu-itogov-konferencii?fbclid=IwAR3zBbyx8WWCvWx-KnpQeZpKnFst3VR8Ol-V4Iw4kmBt4bCg73q9Q5-EDzI
末筆になりますが、以下、関係者の皆様に深く御礼申し上げます。
今回のユジノサハリンスクでのカンファレンスは、北海道とユジノサハリンスクの日露相互の弁護士による長年にわたる友好と交流という財産の上に成り立ったものです。交流に尽力する北海道からの長友隆典弁護士(当協会事務次長、長友国際法律事務所)と、サハリン現地でフルアテンドして下さったイワン・ショカレェフ・ロシア国弁護士におかれましては誠に有り難うございました。
また、模擬仲裁における日本側の仲裁人として仲裁人役を引き受け、すべてロシア語で行われる主張反論と仲裁手続に対応するという難役をこなされた中野由紀子弁護士(同事務次長)におかれましても、お見事でした。そして、誠に有り難うございました。
そして何よりも、今回の催事において最初から最後までリーダーシップを発揮し、日露の学生に温かく接して下さり、そして、日本側として胸を張れるような今般の貢献と成果に導いて下さった川村明先生には、つつしんで御礼申し上げます。誠に有り難うございました。(文責小川)
(以下、会議終了後の様子です。)
(以 上)